恵泉女学園大学では、教育の柱の一つに園芸を置いており、学部学科を問わず、初年次に必修科目である生活園芸を1年間学びます。この科目は、2001年に日本の教育機関としては初めて有機JAS認証を受けた教育農場で、農薬や化学肥料を使用しない有機園芸を体験するものです。

2010年、多摩丘陵でフットパス運動を推進してきたNPO法人みどりのゆびから恵泉女学園大学に、大犬久保谷戸(町田市小野路町)の里山景観を残したいという相談がありました。これををきっかけに、地元農家のご指導のもとで10年ぶりに休耕田を起こすことから始め、町田市、地元農家、NPO法人、大学の4者協働で谷戸田を保全する活動が始まりまた。

2011年、米国カリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC)のフィールドスタディーに参加した恵泉女学園大学の有志が、 アグロエコロジー(農生態学)の考えと Life Lab の環境・食農教育実践とに影響を受けて、ガーデンクラスルーム研究会を立ち上げました。この研究会が中心となり、2013年から社会福祉法人共働学舎(町田市小野路町)の協力を得て、竹チップ段ボールコンポストの研究開発を進めました。竹林管理の過程で生じる竹材をチップ化し、それを基材とする段ボールコンポストに生ごみを入れ、できた堆肥を家庭菜園やコミュニティガーデン等に用いることで、放棄竹林対策と生ごみ減量化をめざすものです。ここで開発したコンポストは、現在、町田市が家庭ごみ削減のために普及させています。

2016年には、米国UCSCでアグロエコロジーの考え方に基づいて実践されているCSA(Community Supported Agriculture; 自然環境の中で有機農業を実践し、互いに理解し支え合いながら収穫物を地域の人びとと分かち合う仕組み)を恵泉の教育農場の一角で始めました。約20名の賛同者(パートナー)から代金を前払いでいただく方式で、有機栽培した野菜・ハーブ・花などをシェアしています。

さらに、多摩ニュータウン内にコミュニティガーデンをつくる活動や、自分たちで育てた野菜・ハーブやオーガニック商品・フェアトレード商品などを販売する活動など、持続可能な社会に向けた活動を展開してきました。しかし、これまでは大学の課外活動や地域貢献活動の範囲では発展性に限界がありました。コロナ禍によって、これまでの活動が従来通りには実施できなくなるなかで、今後の活動を持続させていくためには新たな段階へと移る必要を感じました。

そこで、広く学外にも支援を求めて活動を発展させるために、明確なビジョンのもとで総合的にこれら諸活動を推進する市民団体として、2021年7月26日にLife LabTama(ライフラボ多摩)を設立しました。