特定非営利活動法人Life Lab Tama設立趣旨書
2015年、国連で気候危機の克服に向けてパリ協定が結ばれ、また、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)を2030年までに達成することが採択されました。こうした動向の背景には、地球環境が保全されなければ、社会経済活動を発展させることができないという世界的なコンセンサスがあります。気候変動分野においては2050年までにカーボンニュートラルを、生物多様性分野においては2030年までのネイチャーポジティブを達成させる目標が掲げられるなど、地球規模で環境問題に取り組む姿勢が高まっています。
しかし、これらは等身大の感覚をはるかに超える目標であるために、ともすれば、その実現のためにどのように考え、どのように行動すればよいのかわからなくなります。“Think Globally, Act Locally” の必要性が主張されますが、行動するための考え方や具体的な方法、さらに実践活動を広げていくための資源やネットワークが不足しています。
一方、1988年に東京都多摩市に開学した恵泉女学園大学では、平和をつくる教育の柱のひとつとして園芸教育が重視されてきました。恵泉の園芸教育とは、植物栽培のみを扱うのではなく、人と植物、人と風土、人と社会との関係に目を向け、多様ないのちと共生する社会づくりを目ざすものです。つまり、人間と植物の関係に軸を置きながら、SDGsを目ざす今日の社会に必要な環境教育や平和教育を含むものであり、近年世界的に注目されているアグロエコロジー(農生態学)とも重なります。実際、恵泉女学園大学は米国UCSCと交流を深め、アグロエコロジーの考え方とUCSC内にある非営利団体Life Labの食農教育実践に影響を受けて、さまざまな地域貢献・社会貢献活動を展開してきました。2021年、こうした考え方や取り組みを、キャンパスが位置する多摩地域を起点として国内外に発信・普及していくために、大学の教職員や関係者を中心に任意団体Life Lab Tamaを立ち上げました。
その後、恵泉女学園大学は2027年3月に閉校することが決まり、これまでキャンパス内や多摩市立グリーンライブセンターなど周辺地域で積み重ねてきた園芸の教育研究・社会実践を継続できないことになりました。そこで、Life Lab Tamaのメンバーは、持続可能な社会の実現が求められる今こそ、恵泉の教育実践が必要であると信じ、この灯が消えないように、むしろその灯を受け継ぎ社会に広げていくために、任意団体を発展させるかたちでNPO法人Life Lab Tamaを設立します。
2024年3月10日
特定非営利活動法人Life Lab Tama
設立代表者氏名 澤登 早苗